老舗喫茶「アンジェラス」とダッチコーヒー 昭和のレトロを感じる 

老舗喫茶「アンジェラス」
東京都台東区浅草1丁目17-6
昭和21年(1946年)浅草のオレンジ通りに面した現在の場所に、山小屋風をイメージした喫茶店が開店いたしました。戦後まもない頃でしたので町中に傷跡がたくさん残っている状態でした。そのような中、ヨーロッパ風の外観はとっても映えて、あっという間に町中の話題をさらっていったのです。

ここのオーナーの思いは、この浅草に元気を注ぎたい。そうすれば復興も早められるだろう。このような事からこの店のオープンを立案いたします。ここで店名を決めたのは祖母でした。クリスチャンでしたので”お告げの祈りを意味する「Angelus」としたのです。

温故知新
その後、この外観もあって多くの著名人や芸能人らが足を運ぶようになります。その度に、外観や内部のデザインを楽しんでおりました。中には孫の代までも伝えてやりたいという方も現れます。

アンジェラスのオーナーはこう言います。
「昭和のレトロをお客様に感じてもらうために、敢えて、新しいことは致しません。いつまでも、変わらない空間を保ち若い世代の方々に伝えつづけていきます。」
「アンヂェラスのモットーはシンプル・イズ・ベスト」

古きを尋ね新しきことを知る。「温故知新」の考え方、素敵です。

ダッチコーヒー
そして、いち早く取り入れたのはダッチコーヒー(お湯ではなく水で抽出するコーヒー、水出しコーヒーとも言います)でした。

なぜ、このダッチコーヒーを取り入れたのか。
実は、この当時のコーヒーはインドネシア産のコーヒーが出回っていたのですが、あまりにも苦みが強く、このコーヒーをいかに美味しく飲むことができないか。と考えだされたのが、このダッチコーヒーだったのです。

このダッチとはオランダ人のことで、その当時インドネシアは領土でしたからこの名前がつきました。この方法で抽出されたコーヒーは深いコクとまろやかさ、そして、香りと色のすべてを兼ね備えていたのです。
本当にとってもおいしい珈琲といえます。

抽出方法
人の心を打つコーヒーを作るには手間がかかるものです。豆の煎り方、挽き方などに達人技の全てがあります。このダッチコーヒーを作るには、まず水を一定間隔で一滴ずつ落とさなければなりません。この単純な工程を8時間~9時間おこないます。

こうして出来上がったコーヒーを召し上がってみてください。癖になる味です。これがダッチコーヒーの醍醐味と言えるでしょう。

コーヒー歴史
伝説:9世紀(801年-900年)のエチオピアでヤギ使いの少年が、時々ヤギが興奮しながら飛んだり跳ねたりするのを見かけ、修道院の僧侶に話をしこの原因を探ると山の赤い実を食べていたことが分かります。

その赤い実の中の豆を煎って修道院の夜業をしている修行僧に飲ませたところ、眠気に効くことが判明します。この内容は著書「コーヒー論 その特質と効用」に書かれてあります。

コピルアルク
このコーヒーのヤギ伝説を知り、マレージャコウネコの事を思い出しました。

インドネシアのコーヒーノキの木の実が赤く熟したころ、マレージャコウネコがやって来ては木の実を食べていきます。マレージャコウネコの栄養源となるのは熟した果肉です。
中の種子にあたる豆は消化されずに外に排泄されます。

インドネシアの現地の農民が、この排泄された豆を煎って焙煎したところ、独特な香りと味に気が付きます。カフェインの含有量も通常のコーヒーに比べると半分ほどであることも分かりました。

これは腸内発酵の働きがそうさせているようです。コピ(コーヒーを指すインドネシア語)アルク(マレージャコウネコの現地での呼び名)

世界で最も高価なコーヒー
かつては日本にも多く出回っていましたが、大量生産をしようと野生のジャコウネコを捕獲しては無理やりコーヒーの木の実を食べさせていたことが判明します。
これは天然ものとは言わず偽装販売だと多大な抗議を受けます。

現在でも100g=約3600円はする高価なコーヒーです。儲かるからといって肉食のジャコウネコを捕獲し、無理やりコーヒーの実を食べさせるのはいけません。

ここまでコーヒーの事ばかり書きつづってきましたが、老舗喫茶「アンジェラス」はケーキや焼き菓子、そして、デコレーションケーキまでも豊富です。
また、お持ち帰りから全国発送もご利用いただけます。

2019年3月17日(日)の18時をもって閉店することがオフィシャルウェブサイトにてアナウンスされ、3月末には建物も取り壊されてしまいました。理由は建物の老朽化のことです。
また、昭和の歴史が無くなってしまいました。残念です。

つづいて、
浅草「浅草国際劇場」
SKDの懐かしい思い出の場所。

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